日本における火災の歴史
日本における火災の歴史は、一体どのようなものになるのでしょうか。火災が起こること自体は好ましいものではありませんが、その歴史を知ることで、火災防止の一助となるかもしれません。ここでは、日本における火災の歴史について解説します。
江戸時代の火事
火事といえば江戸時代が有名かもしれません。「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉もあり、それだけ頻繁に火災が発生していたと言われています。一例としては、下記の通りです。
- 寛永18年 桶町火事 死者数400人以上
- 明暦3年 明暦の大火 死者数最大10万人超
- 明和9年 明和の大火 死者数1万人超
江戸時代に起きた火災(大火)は、江戸だけでも49回、小さいものまで含めると約1800回程度発生していたようです。それだけ火事が身近な時代といえばそうなのかもしれませんが、もちろん全く対策がなされていなかったわけではありません。
江戸時代の火災対策
江戸時代の火災対策としては、火消し制度が有名です。今でいうところの消防士のようなもので、火災の消火という命を受けていました。
ただ、今みたいな消火方法を用いていたわけではありません。
主な消火方法は「破壊消防」というものであり、周囲の燃え移りそうなものを破壊してそれ以上の延焼を防ぐという、少々乱暴なやり方であったと言われています。
そのような手段を用いた背景には、放水の難しさがありました。明和歴頃には手押しポンプが配備されましたが、飲料水にも事欠くような状況だったため、消火のために水を使うのは難しかったようです。
また、江戸時代の火事の原因の一つに「放火」があったのですが、その対策として放火犯には重罪を課していました。処罰には、見せしめとして火炙りの刑に処されていたという話です。
近代における火事
では、次に近代の火事について見ていきたいと思います。近代に発生した火災の一例としては、下記のようなものが挙げられるでしょう。
1923年 関東大震災による火災 死者数35000人超
1934年 函館大火 死者数2000人超 焼損棟数10000超
1973年 大洋デパート火災 死者数100人超
2016年 糸魚川大火 焼失100棟超
近年の火事は、まだ記憶に新しいものもあるのではないでしょうか。時代が進むにつれ火災による死者数は減っていっている印象がありますが、それでも尊い命が失われたことに変わりはありません。
近年における火事の被害規模低下は、消防制度の完備や建物材質の変化などが挙げられます。今は緊急通報すれば比較的どこでも消防車がかけつけてくれ、適切な消火活動を行ってくれます。
また、建物の材質に引火しづらい材料が使われるようになったことも大きいでしょう。マンションであれば、コンクリート造りのところも多いのではないでしょうか。